赤く染まった富士山が現れる情景は、古くから人々にとって「吉兆」とされてきました。
この絵で描いた赤富士は、ただ縁起を示すためだけでなく、「今の自分がどこに立ち、これからどこへ向かうのか」その視点を取り戻す手がかりとして配置しています。
赤富士の強さと静けさ、その両方を象徴として捉え、そこに日本文化の文様と、美しい曲線を描く龍を組み合わせ。
宇宙を思わせる深い空気感の中に浮かぶ、『龍体文字フトマニ図』
これらで構成された世界観は「無限の可能性の中心にいる自分」を静かに思い出させてくれます。
絵の半分をしなやかに巡る龍の姿は、水や風の流れのようでもあります。
古くから龍は、自然の象徴として描かれ、その姿はいつの時代も、人が抱える感情の動きと重ねて捉えられてきました。
この灯り絵でも、龍の曲線がまとうリズムを通して、「心の流れが整う感覚」「張りつめていたものが少しほどける瞬間」そんな時間を生み出すことを意図して描いています。
激しさや力だけではなく、静かな強さと柔らかさの同居が、この龍の魅力になっています。
周囲を囲む装飾枠には、日本の伝統文様を組み合わせ、独自のデザインとして再構成した文様を配置しています。
文様は、単なる飾りではなく、「自然への眼差し」「暮らしと祈り」「願いや美意識」といった、古来の文化が育ててきた物語。
それぞれの文様が持つ意味をそっと添えることで、赤富士と龍の世界が、より奥行きを持って感じられるようになります。
灯り絵『赤富士と龍』は、迫力や華やかさよりも、「静かに背中を押してくれる強さ」を意識して描きました。
・大きな決断の前
・迷いが続く時期
・落ち着きたい時
自分の軸を確かめたい瞬間、そんなタイミングで、ふと視線を向けることで、「自分の内側にある確かな感覚」が戻ってくることがあります。
飾られた場所に、ただそこに存在しながら、暮らしの中で小さな対話を生むアートとして受け取っていただけたら嬉しいです。