「本当はこう伝えたかったのに…」
そんなもどかしさを感じたことはありませんか？
僕自身、物語を描くとき、キャラクターの想いや感情をどう表現するか、いつも悩みながら言葉を選んでいます。
伝えたい気持ちは確かにあるのに、それが相手に正しく届くかどうかは簡単ではありません。
そんなときに出会ったのが、龍体文字『ゆん』という文字です。
初めてこの文字の意味を知ったとき、まるで心の奥にしまっていた言葉たちがそっとほどけていくような、そんな感覚がありました。
言葉に形を与えるのではなく、心に響く温度を与えてくれる——そんな不思議な力をこの文字に感じたのです。
僕が絵本をつくる中で大切にしているのは、「何を伝えるか」でなく「どう伝わるか」。
『ゆん』という文字には、その“どう伝わるか”の部分をそっと支えてくれる優しさを感じます。
この文字と向き合っていると、自分が本当に伝えたかったことに気づかされることがあるのかもしれません。
声に出せなかった想い、言葉にできなかった願い——そういったものが、少しずつ浮かび上がってくるよう。
『ゆん』には、言葉を超えた“こころの音”を届ける力があるように思います。
それは、誰かとの会話の中で起こる通じ合えたという温かい瞬間を、そっと後押ししてくれるような力です。
表現するというのは、勇気のいることです。
ときには「こんなこと言っていいのかな」と不安になることもあります。
でも、『ゆん』という文字は、そんな気持ちを静かに見守ってくれる存在です。
「そのままでいいよ」と背中を押してくれるような、そんな空気を持っています。
不安になったときは、この文字をそっと紙に書きながら、自分の奥にある“本当の声”に耳を澄ませてみるのは、いかがでしょうか。
それは絵を描く時でも、文章を書く時でも、自分らしくいるための小さな儀式のようなものなのかもしれません。
誰かに自分の気持ちが伝わったとき、世界は少しだけ優しくなる。僕はそう信じています。
『ゆん』は、そんな瞬間を作るためのひとつのきっかけになる文字です。
この文字に触れることで、言葉に宿るぬくもりがほんの少し増えて、相手の心にそっと届くようになるかもしれません。
表現は、技術ではなく“想い”から始まる。
『ゆん』は、その想いに寄り添い、自分らしい言葉を引き出してくれる文字だと、僕は感じています。
