物語を描く人間として、神社や古代の神話の世界に触れることは、いつも新しい発見と出会いをくれます。
先日、京都での講演にあわせて、ある場所を訪れました。
そこは、静かで凛とした空気の中に、どこか優しさが漂うような場所でした。
この社に祀られているのが、「磐長姫命(いわながひめのみこと)」という女神。
彼女の物語は、日本神話の中でもとても印象的です。
貴船神社の結社(ゆいのやしろ)。
ここは本宮から奥宮へ行く途中にある石段を登った結社。御祭神は磐長姫命(いわながひめのみこと)。
日本神話のおはなしでは、天照大御神の孫、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が、大山津見神(おおやまつみのかみ)の娘である木花開耶姫(このはなさくやひめ)と結婚する際、大山祇神が姉の磐長姫命(いわながひめのみこと)も差し出します。
ところが、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は木花開耶姫(このはなさくやひめ)だけを嫁に娶り、磐長姫命(いわながひめのみこと)を送り返してしまいます。
これを恥じた磐長姫命は「吾ここに留まりて良縁を授けん」といったとされ、「縁結びの神」としてここ貴船の地に鎮まったと社伝に記されています。
結社には、貴船山の山中から発見された船の形をした「天乃磐船」もあり、磐長姫命の御料とさして奉納されています。
物語の世界で出てきたものが、実際、現実の世界にあるというのがすごく面白いですよね。
ちなみに、この日本神話には続きがあります。
磐長姫命(いわながひめのみこと)を送り返された父・大山津見神(おおやまつみのかみ)は、このことに怒り、次のように言いました。
「私が二人の娘を送ったのは、天孫が岩のように永遠に、花のように栄えるようにと誓約を立てたからだ」
ここから、人の命が短くなってしまったというわけです。
僕が結社に訪れた際は、参拝者が誰もいなかったので、ゆっくりと祝詞を奏上することができました。
少しの間お話や感謝の意を述べていると、ボワンッ!ボワンッ!と、やさしい波動のような『氣』が2度ほど、僕の顔と両耳を包み込んでくれました。
参拝中に心地よい風が頬を撫でることはあっても、この体験ははじめて。
ちなみに、貴船神社の正式な参拝順序は、本宮→奥宮→結社(中宮)といわれています。
奥宮は龍穴のある場所として有名ですが、奥宮の参拝後は、結社に寄っていただくのもよいかと思います。
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参拝翌日、京都講演ではたくさんの方とのご縁をいただき、素敵な機会となりました。
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次回は11月24日の東京講演で、お会いしましょう。