「そろそろ区切りをつけたい」
「心の中で、終わらせたい感情がある」
そんな風に感じる時期は、誰にでも訪れるものです。
人生の節目や、長く抱えてきた思いとの向き合いの中で、「終わること」への恐れや迷いを抱えてしまうのは自然なこと。
そんなとき、そっと背中を押してくれるのが、龍体文字『ん』です。
この文字には、「終わり」や「完了」を象徴するエネルギーが宿っています。
優しく、でも確かに物事の終息を導き、新たな一歩へと心を整えてくれる力があると言われます。
今回は、灯り絵アーティストでライブ絵本作家・祐彩(ゆうせい)の視点から、龍体文字『ん』がもたらす「終わりと再生のエネルギー」についてご紹介します。
五十音の最後に位置する『ん』は、「物事の完結」を象徴する文字です。
それは同時に、次のステージへの始まりを意味する合図でもあるのです。
何かをやり遂げたい。
抱えてきた問題に区切りをつけたい。
心の奥に残っている感情に決着をつけたい──
そんな想いを持つとき、『ん』は「自然な終わり」へと導く静かな力を貸してくれるはずです。
僕が絵本で物語を締めくくるとき、最後の一言に特別な想いを込めるように、人生の節目にもまた、言葉にできないエネルギーの整理が必要です。
『ん』は、その大切な区切りをやさしく整えてくれる文字だと思うのです。
終わりを迎えるには、まず「手放すこと」が欠かせません。でもそれが難しいと感じるのも、よくあることです。
『ん』のエネルギーには、心に溜まった緊張や不安をゆるめ、深いリラックスへ導く力があります。
僕自身、創作に行き詰まったときや、思考が堂々巡りになっているとき、この文字に意識を向けたり、深呼吸するだけで、ふっと心がほどけることがあります。
不安が和らぐと、物事を冷静に見つめ直す視点が戻ってきます。
それが、心の中の「終わらせる準備」に繋がっていくのだと思います。